2023/06/06

 

好きなアイドルがアイドルを辞めていよいよ三年が経つ。なんだかんだ好きなアイドルが「好きだったアイドル」になった生活も不自由はない。ただものすごく寂しいし、隣の芝生は青く見えるし、もし好きなアイドルがアイドルのままだったらと考えてしまう。彼は周りが言うほど憎まれる存在ではないと思う。言葉足らずだし反省足らずだし視野は狭いけど人間らしくてそこが好きだった。なんかもう割とどうでも良くって、案外あっさりしてる。中学生のとき三年間ずっと片思いしてたけど卒業した途端に恋心が冷めた初恋相手と同じ感じ。時々ふと元気にやってっかなあと気になるくらい。過去は過去で宝物のまま。私は好きなアイドルがアイドルとして生きていたあの時代が本当に好きなんです。どこに出しても恥ずかしくない完璧なアイドルでした。時代が変わると人も変わる。色んな憶測や報道に狂わされたのは私たちも彼も同じだ。でっかいステージの上で汗も衣装もキラキラ輝かせ何万人もを魅了する者はこの世で一番尊いのだと知っている。

 

過去の気持ち悪い文章はこれ

mimichan.hatenablog.jp

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正直めちゃくちゃ引き摺ってる部分はある。三年経つのに全然傷が癒えていない。大事な大事なツアーを目前に後味の悪い辞め方をした。かつてのファンさえも今やアンチ側。そのくせ平気で「今が一番幸せ!」とか言うところが腹立つ。そういうところだぞと思う。大事な大事なツアーに行けなかった私の心はどうなる。ライブのために制作されたアルバムの最後に入ってる曲は今まで聴いてきた中で一番好きな歌声だった。辛いときや死にたいときのお守りみたいな音楽が幾つかあるんだけど、これはまさにそれだった。大好きな声だけが残り続けるのはやはり嬉しいよりも寂しい。彼は今の自分を見てほしいだろうし今の自分に自信を持ってるだろうしそれでいいと思ってる。でも私は好きなアイドルがアイドルとして生きていた時代だけが好きだ。これから先も「今が一番幸せ!」と言うんであれば私も「あの頃が一番幸せだったぞバカヤロウ!」って言ってやるよ。彼が所属していたグループは今年で二十周年を迎えた。お祝いモードの輪の中に上手く入れなくて未だに新譜も聴けない。ずっとずっとお守りだけを聴いてる。

 

小学六年生の冬、ある映画を観て好きなアイドルを好きになった。普段のキラキラした衣装を纏う彼ではなくて役のために地味なジャケットと眼鏡を身につけた彼を「この人好きだな」と思った。もちろん語れば長くなるほど他にも色んな条件が合わさり今に至るんだけど、始まりは確かにそこだった。好きになったことは親にも友達にもなかなか言えず結果的に高校生になるまで隠し通した。高校生でSNSを始めて色んな人に出会った。言わずもがなめちゃくちゃ楽しかった。深夜の電話も心斎橋のカラオケも大阪城ホールの噴水もみんなから貰った手紙も地方行きの夜行バスも。私が今この状況でも「好きになれて良かった」とか「忘れたくない思い出」とか迷わずに言えるのは得られた幸福があまりにも多いから。もう高校生じゃないし好きなアイドルもアイドルを辞めた。共にあの頃を過ごした仲間(だったらいいな)もそれぞれの人生を歩んでる。彼が抜けたグループも今まで以上に頑張ってる。一緒に見たかった景色はまだまだあったけど仕方ないよね。誰も責めたくはないもんね。写真の中で制服姿の私がいっぱい笑ってる。幸せそうで涙が出た。もう三年も経ったけど、まだ三年しか経ってない。たられば言っても何も変わらない。好きだったなあ、大好きだったなあ。またいつか会いたいなあ。恋でも愛でも友情でもないこの気持ち。この先もかっこ悪くても無くさずに守り続けていきたい。