2024/02/05

 

パパの部屋からブルーハーツが聴こえる。実家での暮らしは穏やかであり不安定であり色んな感情が付き纏って若干うっとうしい。新しい仕事が決まって躁うつ状態。綺麗に切られた果物を食べる生活をやめてしまったから肌荒れが全然治らなくて困っている。中学時代の楽譜たちを久しぶりにながめた。とてもとても励まされた。もう音符の読み方も忘れたけど指だけは覚えていて愛おしかった。私の過去はとてもとても愛おしい。抱きしめて死ぬまで絶対に離すもんかと思ってる。辛かったこととか誰かを憎んだこととか悔しかったこととかそういうの今はどうでもいい。抱きしめて離すもんか。

 

スーパーで買い物しながら食材の賞味期限を見てるだけで「ああもうこの日には新しい仕事が始まってるのか」と落ち込む。決まるまでも相当落ち込んだのに決まっても落ち込んでる。なんでも話せる友達がいても、心にあるぽっかりとした到底言葉では表せない何かがすごく人生の邪魔をしてくる。朝起きて夜眠るまでが何時間あったとしても私はずっと悩んでるのだろう。結局のところ何も変わらないんだろう。冬の布団の中が一番安全だからここから出たくない。猫と寝ていたい。明日の朝起きて夜眠るまでの時間は何に悩み、何に苦しめられ、何に時々微笑むのか。横の部屋から聴こえるブルーハーツのせいで今日が終わらない気がする。

 

2024/01/12

 

今年最初の映画館は笑いのカイブツを観た。文字を打ちながら手が震える。今までにない感情が込み上げるわけでもないんだけど、ずっとそわそわしてしまう。何度も泣くのを我慢しながら観た。俯瞰ではなく仰視。誰かの人生が作られていく過程をものすごく低い位置から私は眺めていて、また沈んでいく感覚に陥る。ここは居心地が良くてでも足元はいつも湿ってて早く逃げたくて。そんなに難しいことではないはずなのに難しく考えちゃって更に沈んでしまう。私が魚だったら一生ここにいるんだろな。

 

エンドロールに知ってる人の名前があった。こうして私はかつての仲間の生存を知る。そんな文章を書いてる今はお花屋さんのバイトの面接の帰り。電車の中で文字を打っていて頑張って我に返らないよう気をつけてる。多分というか絶対そうであらないと私だけが困るんだけど、仕事を辞めてから色んな選択肢の中で一番自分らしい道を選んでみた。まだ選んだだけだから手元には届いていない。もしかすると届いたらなんか違うって思うかもしれないし、後悔するかもしれないし、結果次第では深く深く沈んで魚になってしまうかもしれない。正解なんて欲しくないのに正解がないことにものすごく腹立つのどうしよう。面接の帰りに駅前のマクドでポテト買えばよかった。正解の代わりに背徳感が欲しい。

 

毎日なんもなくて寂しくて悲しくて辛くてどうしようもないから楽しかったときのことばかり思い出して耐えてる。余計にどうしようもなくなるときもあるけど、総合的に見れば満たされるから耐える。面接で「若い人たちはみんなすぐ辞めてく」と言われた。その若い人たちの中に私は入ってるのかな。これ以上大人になるのは嫌だな。冬眠から明けたばかりの寝ぼけた熊の動画ばかり見てる。なんもないからこそやることはあるしやるべきことはあるし。仕方ないから今は自分の選択肢を信じて頑張ってやるか。やるだけやって燃え尽きたらそれまでじゃ。

 

2024/01/07

 

全然あけましておめでたくないよね。元旦の夕方からずっと頭が重たい。晴れて無職になったおかげで更に全ての状況がきつい。久しぶりに大好きなカルテットを見直してるのに内容が上手く心の中に入らなくて苦しい。被災地から離れたところに暮らす私がこんなんでどうするんだって話だけどテレビを見るのもスマホを触るのも怖い。ただでさえ私自身のこれからが不安で不安で押しつぶされそうなのに本当に参ったよ。音楽にギリギリ救われている。

 

思い出話の根本には絶対に懐かしいがあるはずなのに大きな震災があった日の記憶は昨日のことのように鮮明に覚えてたりする。東日本大震災は兄の卒業式だった。私もブラバンで登校してた。帰りにみんなで近くのお寿司屋さんでお昼を食べて家に帰ってすぐくらいだった。元々揺れに敏感な私は一人だけ気分が悪いって話しててテレビを付けると大変なことになってた。デカワンコの放送が中止になって家族でいつもよりも豪華な夕飯を食べながらニュースを見てた。熊本地震の日は山Pがゲストで出てたとんねるずの食わず嫌い王を見てると急に揺れた。テレビが緊急番組に変わった。次の日は専門学校の入学式だったからみんなで黙祷したのを覚えてる。阪神淡路大震災はまだ生まれてなくて親や知り合いの話でしか聞いたことがない。パパの現場が前日に急遽、明石から変更になって巻き込まれずに済んだ話とか。年上のクラスメイトが課題で震災のことを取り上げていたのが今でも心に残ってるとか。

 

募金くらいしかできないけど募金ができるっていうのも恵まれてるからできることで。ビルの倒壊に巻き込まれて成人式を控えた娘を亡くした男性のインタビューを見た。小さい子供が亡くなると大きく取り上げるメディア。大事なのかもしれないけど、必要なのかもしれないけど、それを知りどうすればいいんだろう。当事者になれない私はどう受け止めて感じてこの先の未来に向かえばいいんだろう。集めた募金に手をつける人間がまだまだいる世の中。動画の再生回数を増やしたいがために被災地へ向かうアホな奴ら。こういうとき人間の汚い部分まで見えてきて本当に恥ずかしい。お前らみんな恥ずかしいよ、馬鹿じゃないの?って言いたくなる。言わないから私も同罪。ぽぽぽぽーん。

 

2023/12/13

 

都会に出るたび駆け込み乗車と歩きスマホと映画館でじっとできない奴に腹立ててる気がする。何回も言うようだけど生き辛すぎて本当に何のために息をしてるのか分からなくなる。初めて転職活動とやらをしていて余計に自分に対しての明るい未来が想像できなくなった。そもそも初めて足を踏み入れた場所で初めて名前を聞いたばかりの他人に「私がこの会社に必要だと思うんです」とかアピールできるわけあるかい。面接の帰り道が長いことで救われたり寒さで手が悴んで救われなかったり。懐かしい景色が目に飛び込んできてやっぱり救われない。

 

二年前の春にうちにやってきた可愛い犬が高齢の猫がかかる珍しい病気にかかり亡くなった。動物と暮らすということはいつか訪れるお別れを覚悟することだと知ってる。ただあまりにも早く旅立たれるとこれまでの二年間がまるで夢のようにも思えて不思議と悲しむことができなかった。人間以外の動物は可愛い。とてもとても尊く守るべき命だと思う。何年か前に須磨にある小さい遊園地でバイトをした日一緒に働いたおじちゃんと帰りの電車が同じになりずっと犬の話をされてた。画面が割れたスマホに写る犬は可愛かった。二十歳そこらの私からすればおじちゃんと電車の中で会話を交わすのはなかなか厳しい時間ではあったけど犬は可愛かった。また可愛い犬に会いたい。また会おうね、絶対ね。

 

今年は色んなことがありすぎて疲れた。無事に退職届が受理され実家に荷物が届いたところ。有休消化をしてる間に新しい仕事を見つけないといけないんだけど時間も余裕もない。既に色んな会社から同じような文面で「うちにあなたは必要ないです」と送られてきてる。心がポキッと折れたから今は早めの休戦中。地元をふらふらしながらこのスーパーって昔誰かバイトしてたよなとか中学校の制服いつの間にか可愛くなってるやんとか(私の時代は喪服だと馬鹿にされてた)そんなどうでもいいことだけ考えてる。泣きたい気持ちも持ち合わせてるけど正直それどころでもないダンボールの山が目の前に。なんとなくデジャヴ。でも間違いなく何年か前の私よりもよっぽど強くて偉くて逞しい。それが救い。

 

2023/11/06

 

阪神タイガースが38年ぶりに優勝した。うちは昔からパパが阪神ファンで子供の頃はいつも好きなテレビを見せてもらえなくて野球が嫌いだった。親が離婚して家族団欒がなくなってからのパパはキッチンのカウンターで私が授業で作った手作りのラジカセに耳をすませ試合を楽しむようになった。野球なんてどうでも良かったけど阪神が勝つとパパの機嫌がよくなるからいつも「勝ってほしいな」と思ってた。離れて暮らすようになり阪神の勝ち負けもパパの機嫌も気にすることはなくなったけど、今日の朝パパが清々しい気持ちで目覚められたのであれば娘にとっての幸せは間違いなくそれです。

 

ストレスで肌荒れと抜け毛が治らなくて寝起きはいつも体調が悪い。どこもかしこも問題が山積みで気持ちも落ち着かない。12月の予定を何度も何度もシュミレーションしてどうしようかと悩んでる。すぐに考えが固まらない自分に嫌気がさしてきた。つい今、休日モードの私に「欠員が出たから出勤してほしい」と連絡をよこした店長。昨日、数時間限定で無双状態だった私が「明日予定ないんで何かあれば来ますよ」なんて言ってしまったもんだから遠慮なく使われた。私の肌荒れと抜け毛が治らない理由ってこういうところだよな。今日は風が強いみたいで窓がガタガタ音を立ててる。わざわざ今からお風呂に入ってメイクをして服を着替えて雨の中、休日出勤。何やってるんだろう。

 

私は私だけのために幸せになりたいのに周りを気にしてばっかりで勝手に疲れてばっかりで。誰かに頼まれたわけではないから誰のことも責められないし恨めない。阪神タイガースが優勝した瞬間をテレビで見てた昨日、あの瞬間だけは私は私の人生も正しいんじゃないかと思えてた。今は全く思わない。お腹の上でうとうとする猫の温もりだけが幸せの象徴である。読みたい本とか観たい映画とか知りたいことが沢山あるのに何にも手をつけられない。めんどくさいだけなんだけど、なんかそんな簡単な言葉で説明できるものではない。ちなみに今クールの連続ドラマは下剋上球児が一番面白いです。

 

2023/11/02

 

子供の頃、好きなアーティストがいつもと少し違う感じで歌う曲を聴くのが照れ臭かった。ふいに流れてきたときは耳を逸らして聴こえてないふりをしてた。でも久しぶりに聴いたその曲はなんにもおかしくなんてなくて優しくてあったかい声だったのは何故だろう。今めちゃくちゃ生きるのが難しくて苦しくて毎日よく分かんなくて。音楽とか言葉って何年経ってもどれだけ使い古してもあの頃のまま何も変わらず存在してくれるから嬉しい。苦しくてよく分かんないときでも絶対に味方でいてくれるから嬉しい。私だけが少しずつ少しずつ変化してあらゆる角度からそれらを見て読んで聴いてあげられるようになったみたい。全然悪いことじゃない。ただ寂しいだけでずっとずっと寂しいだけ。

 

じいちゃんが死んで3週間が経った。独りになったばあちゃんは「今は色んな手続きで忙しくて悲しむ余裕がないの」しか言わない。私が思ってた以上に私の家族は様々な問題を抱えていた。じいちゃんとのお別れもなんだかすごく呆気ないものだった。お骨上げのとき、燃え切った棺から込み上げてくる熱気で目が痛んで涙が出た。あの数日間はパパの顔をあまりよく見れなかった。著名人が亡くなるとネットには「ご冥福をお祈りします」の言葉が溢れかえる。私はまだじいちゃんのご冥福をちゃんとお祈りできてないかもしれない。みんな本当にあの人と二度と会えないことを理解して言葉を発信してるんだろうか。人間って不思議な生き物だな。

 

中学生の頃、願書提出の行き道で迷子になって知らないおばさんの車に乗ったことがある。そのまま高校まで送ってもらい無事に出願はできたんだけど帰り道もまた迷子になった。予定よりも2時間くらい遅く学校に着いた。部活にも出られず職員室以外の電気は全部消えてた。私が職員室のドアを開けると先生たちが一斉に立ち上がって「帰ってきた!」と叫んだ。生徒1人のために残業をしてくれた先生たち。そんな心配もよそに呑気な顔して何事もなかったかのように帰ってきた私。職員室の灯油ストーブの匂いと白くて明るい蛍光灯の光。その後の塾は本当は休みたかったけどパパに「行きなさい」と言われて行った。友達もみんな心配してくれてた。寒くなると蘇るこんな思い出たちのおかげで私は今も生きている。今年も残り2ヶ月となりました。

 

ちなみに知らないおばさんの車に乗ったことは先生にも親にも卒業するまで何回も怒られた。

 

2023/10/09

 

最近あんまり居酒屋のトイレとかで世界一周旅行のポスターを見なくなったな。あれ順番待ちしてるときとかに文字を読むの好きだったな。地元に帰るたび老人ホームが新設されてる。主語がでかい若者がよく目立つだけで日本はちゃんと高齢化社会なんだな。きのう何食べた?のシーズン2が始まったのに住んでる地域では見れなかった。スピッツのライブに行く未来しか楽しみがない。あまりに十分。

 

子供の頃からずーーーっと微妙についてない。不幸を語るには物足りないけど誰がどう見ても穏やかな人生ではなかった。これから先もこんな感じで小さい石ころに躓きながらも無事に過ごしていくんだろうな。せっかくお湯で温まった体をソファで寝落ちして湯冷めさせてしまう。冷えた手足の先がどんどん私を孤独にさせる。可愛い犬に泣きながら「なんで毎日こんなにも頑張ってるのに何も上手くいかへんのやろう」と相談する。困った顔で目を逸らされた。私が頑張ってると思ってるのは私だけなんだろう。仕事終わりいっぱいいっぱいの心で送った長文のメッセージをたった一行で返された。既読すらつけたくないほど悔しかった。

 

冬のスピッツのライブは神戸である。夜はどこかに泊まって次の日はさくらももこ展に行こうかと考えていたんだけど前売り券の販売期間がいつの間にか終わってた。夏の終わりはそれどころではなかったんだ。あ〜こんな風に言い訳ばかりして辛さとか悔しさとか恥ずかしさを誤魔化しているから駄目なんだな。毎日シラガサボテンの写真をながめてる。いつか育てたいから今はながめてる。文章を書きながら知らん間に寝てた。いつも通りアラームより先に目が覚めたのに布団から出られない。寒くて重くて出られない。時々、頑張り方を忘れる。