2022/07/22

 

ちょっと良質なワイヤレスイヤホンを買った。私が私のために生きる日々は、猫を撫でたりお米を食べたりウォークマンのプレイリストを作ることで成り立っている。仕事の帰り道にベタつく肌と生乾きの空気が辛かった。泣いてるときって仲が良かった友達の柔軟剤の匂いを思い出す。夏だからとかそういう訳でもないんだろうけど挫けそうです。

 

人間に期待するのはもう辞めようと何回誓ってきたんでしょうか。物語を知り得ることや音楽を聴くことは心にも体にも良い。喫茶店のクリームソーダや小学生の頃に歩いたグリーンベルト。文字にすれば愛おしく優しく温かいもの。吉田拓郎が引退するらしい。テアトル梅田が閉館するらしい。私もきっと衝動的に言葉を使うときは「生きてみました」を選ぶと思う。だいたいの命はそうだろうよ。

 

たくさんの鉤括弧の中で大人になった。結局のところ私には言葉しかなく、言葉でないと何一つ駄目になることばかり。久しぶりに誰かに向けて手紙を書いた。もしも夢が叶うならば私は私の人生を一冊の本にしたい。家族がバラバラになったこと、吹奏楽部でサックスを吹いていたこと、白い息を吐きながら映画を撮っていたこと、東西線の電車の中で泣いたこと。どうかどうか報われてくれ。

 

またしても不安定なのは誰のせいでもない。借りてきた音楽を取り込む時間は変わらず愛おしいものである。ブックレットを読みながら寝落ちをした。夢の中で一つの物語が完成していた。パパは会うといつも同じ映画の同じシーンの話を嬉しそうにしてくれる。日々は、誰のためのもの。

 

みんなみんな長生きしてね。イントロが流れてきただけで涙が出てしまう曲の最中。夜になると言葉が先走り私は取り残されてしまう。良質なイヤホンを買った。電車に揺られながら聴くためのプレイリストを作った。カーテンから入り込む冷たい風と網戸のカラカラという音が辛い。挫けそうだ。気付けば雨も降っている。ああ、挫けそうだ。目を閉じると夏休みの生活がよみがえる。心を確かに。