2022/01/01

 

最近の私は何もしない。安定を求めすぎて少しばかりの変化にも怖さを覚えてしまうようになった。ただただ穏やかに。ただただ直向きに。私の人生は人並みに死にたい時が訪れて、人並みに生きていて良かったと思う日がある。喉につっかえた言葉を飲み込んでは溶かして今日までやってきた。

 

話は変わって昨年は良い映画を良い映画館でたくさん観ることができた。特に出町座で観た今泉力哉監督の「街の上で」は忘れられない宝物になった。疲れ果てたこの世の中になんとも染みる物語。人は人に学び、人は人を愛す。私の脈打つ心臓が作品の心地良さと連動した。

 

他にもこよなく愛する「ジョゼと虎と魚たち」も初めて映画館で観ることができた。スクリーンで観るジョゼは今までで一番逞しく愛おしい存在だった。上映までの時間、館内では主題歌であるくるりのハイウェイが永遠と流れていた。私はこんなにも尊い空間を他に知らない。

 

大人であることにこだわりすぎてしまう。側から見れば大変そうだろう。惨めだろう。更に言えば可哀想だろう。誰かと比べたいわけではないし誰かのために生きたいわけでもない。どんどん自分が嫌な人間になっていってるようで時々怖くなる。私をこんなにしたのは誰なんだ。

 

狼狽える暇もなく時間は過ぎていく。迷いは答えに導いてくれるんだと信じていた。過去にしがみついても辿り着くのは未来なんだ。エスカレーターだって向かう方向は決まっている。後ろ向きに全速力で走っても辿り着くのは未来なんだ。

 

今年はどんな一年にしようか。どうか穏やかにと願わずにはいられない。大きな変化にも動じずに駆け抜けていたあの頃の私よ、どんなことでもいいから教えてほしい。私は一体どんな風に乗り越えどんな風に戦ってきたの?本当は振り向かずに進むべき方向に進みたいんだ。