2022/01/16

 

そう簡単に人は変わらない。どれだけ変わりたいという意思があっても本能には逆らえない。だからスキャンダルは絶えないし人は人を傷付けるし同じような恋を繰り返す。見たことのあるような聞いたことのあるようなそんな作品でさえ感動をする。私もまたここへ戻ってきた。

 

今年はよく雪が降る。今の場所に越してきて三年目になる。こんなにも真っ白な景色を見るのは初めてだった。私は三年目にして初めて自分が今どこでどう生きているのかを知ったような気がする。ああそうか、私は今ここで生きているのか。そんな当たり前なことを知ったような気がする。

 

今年は日めくりカレンダーを買った。毎日めくる楽しみが欲しくて買ったのに気を抜くと三日ほどめくり忘れている。自分のために始めたことが自分を苦しめる。最近の私は駄目だ。きっと前までの私であれば全てを楽しいものだと捉えられていた。何かを続ける楽しさを知っていた。最近の私は本当に駄目だ。何をしたって負担になる。

 

人は変わらないという話をしておきながら、私は私自身の変化に呆れ返っている。良い変化ならばまだ良かった。最近の駄目な私ばかりが目について結局は「ボロが出てきた」と言われても仕方がない状態だ。言ってることは何一つ変わらないのに響く言葉が何も出てこない。迷惑メールに書かれた胡散臭い言い回しの方がよっぽど目に残る。

 

今年に入って一番最初に観た映画の後味がまだ喉の奥の方にある。この感じ、前に観た映画にもあったなあと思った。その瞬間から集中力が切れてしまった。周りは私よりも若いカップルばかりで満席だった。ポップコーンを食べながら主人公がセックスをするシーンを観るカップルたち。流れる音楽は青春にこじつけた今流行りのあれこれ。アホらしくて情けなかった。

 

年末に降った雪が少しずつ溶けてきた。私もこの町に溶け込んできた。きっとそれでいいんだと最近は思う。優しい人に囲まれて荒波立てない日々を過ごす。ただ何かが足りない。私は一体、何になりたいんだろう。もう噛んでも味のしないガムをいつまで噛み続けるんだろう。