2019/10/26

 

また遊ぼうねって約束した人と本当に遊ぶ日はいつ来るんだろう。プリクラの落書きに「ずっと仲良し」とか書きあった人の半分以上は今どんな暮らしをしているかも知らない。押し入れの空き箱に入れたみんなからの手紙の行き先はどこなんだろう。秋は寂しくなる季節。

 

ライブに行った。とても楽しかった。あそこにいたみんなが感じたアレ、あそこにいた私だけが感じたソレ、間違いがひとつもなかった。照明の光が目の中にいっぱい入ってきてキラキラした。目を細めるとそのキラキラはこぼれ落ちて世界が夢だらけになる。ものすごく気持ちよかった。心地よかった。「ラブアンドピース」多分あの瞬間だけは、こんなダサい言葉も様になる。

 

泣きたくなった。知らない人たちと同じ空間で同じ感情を抱き心を一つにする。何もいらない。何もいらなくても手に入るんだ。泣きたくなった。大好きな映画の話を誰かにする。あの頃の私を思いあの頃の誰かを思う。きっとそこには苦しみだって悲しみだってあるんだ。泣きたくなった。明日を想像しただけなのに。

 

たった1ページの物語を作り上げることが難しい人もいれば、たった1メートルの道を進むことが難しい人もいる。「大丈夫」「大丈夫じゃない」「頑張れよ」「頑張りたい」逃げることも突き破ることも立ち向かうこともできるからいけないんだろうか。何者かにならないといけない義務はあるんだろうか。少なくとも今の自分が正しいとは思っていない。だけど、正解も間違いも分からないから滞っている。

 

可愛いワンピースを着て可愛いピアスを付けて可愛い靴を履いて。多分。いや絶対。人は平等に幸せになる権利がある。生き辛いと感じたら我慢をやめればいい。このままじゃダメだと思ったら飛び越えればいい。それだけのことを簡単にできればいいのにってさ。

 

気を許せる友達がちゃんといること。どの友達に対しても素直でいたいと思う。あの子といるときの私、あの子といるときの私、そんな風に自然と使い分けられることの大切さ。でもどれにも嘘はない。嘘は嫌い。ついてもいい嘘とダメな嘘の見分けがつかないなんて失礼だ。一緒にお酒を飲んだり、ドライブしたり、あてもなく彷徨ったり、いつになっても馬鹿だねなんて笑い合えればもう十分なんだよね。

 

宝物は人にだって言える。私を守ってくれるママ。ビートルズが好きなパパ。支えてくれるみんな。笑わせてくれるみんな。頼りにしてくれる人。一度でも私を好きになってくれた人。一度でも私が好きになった人。宝物はもちろん物にだって言える。初めて行ったライブのチケット。高かったTシャツ。涙が染み込んだ手編みのマフラー。CAN'TBUYMYLOVEのCD。あの人が夢を語った雑誌の切り抜き。初めて書き上げた短い物語。

 

なんかの映画で「伝えたいことは山ほどあるのにぴったりくる言葉がひとつも見つからなかったんだ。だったら最高の一曲に託す方がいい」という台詞があった。上手く言葉が見つからなくて口元が焦ったいとき、コレを思い出す。私だってそうしたい。そうしたいよ、そうしたくてたまんないよ。

 

大好きなものが沢山ある。楽しくて難しい。とりあえず私は無事に明日を迎えよう。そして行くべき場所へ行こう。そして帰るべき場所へ帰るんだ。目の中にいっぱいあったキラキラが恋しい。さようならまたいつか。世界中の夢が詰まったあの場所へまたいつか。