2019/10/14

 

台風が過ぎた後の昨日の空はあまりにも青くて広くて澄んでいて何もかもが夢だったのか。はたまた今ある全てが夢なのかと戸惑ってしまった。眩しい光にくしゃみが出る。「へんてこなくしゃみだね」と頭ん中で音楽が流れた。今日はまた曇り空。

 

泣いた翌日は大嫌いな顔に追い討ちをかけるように私はブサイクになる。目の上に氷を当てながらどうでもいいグラビアアイドルのテレビでの発言を思い出したり、中学生の頃に遊んでいた友達の顔を思い出したりして訳がわからずまた涙が溢れる。鏡で見た私の顔はやっぱり酷いもので、なんだか笑けてきちゃった。

 

どんな状況でも食べ物は美味しい。別れ話をされた日に食べたチョコレートも挫折をした日に食べたオムライスも独りぼっちで仙台に行ったときに食べたケンタッキーも美味しかった。本当は牛タンが食べたかったけどチキンフィレオバーガーも美味しかった。

 

ブックオフのマンガ100円ワゴンから浅尾いにおの「世界の終わりと夜明け前」とさくらももこの「ひとりずもう」上下巻を買った。チャットモンチーのアルバムは290円だった。天気のいい日に幸せを買うと得した気分になる。帰り道で衣替えのことを考えていたら、急に風が涼しくなって冬の匂いがした。

 

最近の私の服の寿命は3年も持たない。どれだけ一目惚れをした服だったとしても1年過ぎた頃にはクローゼットの奥で眠っている。大人になったんだ。そのくせ高い服を大事にする自信はないから安い古着屋さんの服ばっかり着てる。勇気を出して買ったけど少しだけ後悔した赤オレンジ色のワンピースを久しぶりに着てみた。多分またクローゼットの奥底で眠ることになるだろう。

 

私は勝ち負けが決まるものが苦手だ。例えばスポーツ観戦や音楽のコンクール。ヒルナンデスなんかでやってるおしゃれコーデ対決でさえ。何でだろう、勝ち負けを決めなくちゃいけないものが沢山あることは分かってるんだけど、どうしたってどちらかが負けることを考えると体の力が抜ける。

 

働きたいと言ったら嘘になるかもしれない。だけど働かなくちゃいけないことは確かで。もちろん働こうと思っていて。働こうと思う!も働かなければ!も働きたくない!も言えるのに働きたい!と言えない自分の体は厄介だ。厄介だけど仕方がないことだ。

 

新しい時計の秒針がちょっとうるさいこととか、部屋の電気の色がオレンジじゃないこととか、向かいのマンションが物騒なこととか、そういうことじゃあない。私の心がいつも以上に落ち着かないのは、そういうことじゃあない。大きなコルクボードも雪だるまの置物も細長い鏡も全部すっかりお気に入りの仲間入り。きっとこれからのことも全部、大丈夫。

 

おでこのニキビが治る頃にはまた新しいスタートが始まるんだよ。スタートはいらないからゴールが欲しい。いつか言ったこの言葉を撤回できるようにスタートを切るんだよ。明日は晴れるらしい。澄んだ秋空のために眠りにつこう。その前に歯を磨きマンガを読もう。