2019/07/29

 

生きるのが下手くそなくせに私が持っているのは自由だけだ。才能も知識も価値も何にもない私が持っているのは自由だけだ。なんだか奥田民生のイージューライダーが聴きたくなってきたな。

 

全てが終わった日の夜はみんな無敵だった。私も無敵だった。いつも目をとんがらせていた人たちも優しい顔で笑っていた。私も笑っていた。楽しくて熱くて気持ちのいい夜だった。世間一般的にいう打ち上げって言うものは、本当にいいものだ。休日が明けた今日、清々しい表情をしたみんなを見ていたら頭ん中でエンドロールが流れてくる感じがした。

 

ちょっとしたことで嬉しくなったり悲しくなったりする人生。ロゴマークだけで覚えていた古着屋さんの名前を知って嬉しくなった。満員電車の端っこで震えてるおじいちゃんを見て悲しくなった。空が青いだけで切なくなる。夏が暑いだけで冬が寒いだけで。誰にも分かってもらえないようなちょっとしたことに敏感な人生。

 

夏なのに水着を着る予定も、浴衣を着る予定もない。花火は夏の終わりにする。かき氷はいらないからクリームソーダを家で作りたい。最近よく思うんだ。誰でもいいから私を貰って欲しい。そばでずっと私のことを優しく包んでいて欲しい。

 

学生の頃はいくえみ綾さんの漫画が好きだった。潔く柔くを全巻買いたいなあと思いながら5年くらいは経ってしまった気がする。人はどうして人を愛するのかみたいなことは全部いくえみ綾さんから教えてもらったと言っても過言ではない。嘘じゃあない。少女漫画を好きになってよかった。もっと大げさに言うと女に生まれてよかった。よく分かんないけどいっぱいよかった。

 

よく頑張ったねとか、すごいねとか、そういう言葉をよく言われる。私は私のことを頑張ってるともすごいとも偉いとも天才ともなんとも思っていない。みんなも思ってないのに言ってるんだと勝手に疑ってしまう。そんな自分が大嫌いで仕方がない。

 

明日のことを考えるのが苦手だ。今日のことだけを考えていたい。昨日の自分は今日になってようやく愛してあげられる。それなのに先の見えない未来ばかりを考えては苦しくて苦しくて息が詰まりそうになる。誰かにすがる余地もない。自分のことは自分でなんとかしなくちゃいけない。息が詰まりそうになりながらもなんとかしなくちゃいけない。早く全てが大丈夫になりたい。

 

久しぶりにピアスと指輪をつけて口紅も塗った。小学生のとき、映画の中でおめかしをする女優さんにとても憧れていた。私は今あの女優さんみたいに自分で自分を着飾ることができる。aikoの歌に出てくる女の子みたいにもなれる。大人になってしまった。なってしまったんだなあ、本当に。

 

お別れは好きじゃない。だけど私はもうすぐお別れを味わう。みんなはそんなこと大したことがないような顔で私に「元気でな」なんてことを言うんだと思う。そのとき私の心は壊れてしまわないか心配だ。昼が過ぎた今もまだ頭ん中でエンドロールが流れ続けている。