2020/08/22

 

爪が伸びるのが早いのか時間が経つのが早いのかどっちなんだろうと考えてた。私にとって何かを失うことはどんな言葉で繕っても「いい経験」にはならない。みんな悲しみをどう乗り越えて生きてきたの。耐えてきたの。今の私にはどうしても分からない。

 

大切な存在を失った。自分で決めた覚悟ほどあてにならないものはない。頼りない心はやっぱり今回も頼りなかった。何かを失うことを知らず22年間を生きてきた私にはこれから先に出会うであろう不安を前借りする余地もなく、ただただ空っぽの心だけを抱えている。

 

悲しい。よりも怖い。失った存在以上にその匂いだったり温もりだったり表情だったり、当たり前のように感じていたそれぞれをも失うことが怖い。どれだけ忘れまいと思ってもいつかは忘れてしまう。こんなにも怖いことはない。

 

時間が解決するのでしょうか。慣れてゆくのでしょうか。それでいいのでしょうか。生きてることが辛いです。堪らなく辛いです。ずっとずっと辛かったんです。この状態を土台にして乗り越えられる壁なんてあるのでしょうか。

 

あの日は電話があった。もともとこんな日が来ることは分かってた。だから心の隅にちゃんと覚悟を忍ばせていたつもりだった。それでもどこかで分かっていないふりをしていたかった。電話を切ってからも私は何もなかったようにあの日を過ごした。笑ったり喋ったり食べたりして過ごした。家までの距離が短く感じた。帰りたくないときに限って時間が経つのは早い。こんなときにこんなくだらないことに気付きたくなかった。

 

忘れたくないのに忘れたい。忘れてしまえば楽なことを知っている。忘れられないことが苦しいことも知っている。どうすれば良いのか私には分からない。自分勝手でごめんなさい。私は私のことだけを考えてごめんなさい。生きてることが辛いのです。

 

生きなくてはならない。ご飯を食べて仕事をして眠らなくてはならない。当たり前にあったものを失っても当たり前のように生きなくてはならない。みんな悲しみをどう乗り越えて生きてきたの。耐えてきたの。今の私にはどうしても分からない。